MercedesBenz 320CE Cabriolet
MercedesBenz 320CE Cabriolet

メルセデスはいつの時代にも 4 座のオープン・ボディをラインナップに用意していましたが 280SE (縦目) 以降はなぜか姿を消してしまいました。
そういった背景のなかで 20 年ぶりに発表された 4 座オープンが 320CE Cabriolet (W124のカブリオレ) です (、、、本国では 300CE-24 が先に販売されていますが)

ボディのベースは 300CE-24V、当時のミディアムクラス (現在でいうところのEクラスに相当) のクーペです。4 座オープンという点でこのクルマの後継車にあたる現在の CLK カブリオレのシャーシーは C クラスがベースになっています。

メルセデスはこのカブリオレを生産するにあたり、オープン化することで発生するボディ剛性と安全性の低下に対処するために約 1000 点に及ぶボディパーツを新設計し、ボディ剛性に関してはクーペに匹敵するものを得たと言われています。
が、いかんせんシロウトの私には「どこまでが真実なのか」わかる術がありません。
さすがに 20 年ぶりに発表した車輌なので「 “最善か無か”マジになって作った気配がなんとなく感じとれるような気がする」と書いておきます。

一例としてリアシートのバックレスト背後には、ある条件下 (ボディが左右22度以上傾いた場合、または前後左右から 4G 以上の力がボディに加わった場合) になると飛び出すヘッドレスト状のロール・オーバー・バーがありメルセデスの安全に対する姿勢がカタチとなって装備されています。横転した時にはフロントのAピラーとリア側のロールオーバーバーによって生存スペースを確保しようという考え方です。

そんなロールオーバーバーはこんなヤツです。

ロールオーバーバー(ヘッドレストもどき)いや~、なかなかのものですね。
。。。宇宙にでも行くのでしょうか(笑)
「動作テストで強制的に飛び出させることができる」とも聞きましたが、その際ものすごい音がするらしいとのこと (ネットで知り合った方の談)
ちなみに運転席には電動で上げ下げできるスイッチも付いていまして使用説明書には後席に人が乗った場合はこのロール・オーバー・バーを「上げなさい」と書いてあります。

おそらくヘッドレストとして代用するのが目的だと思うのですが、ものすごく硬い素材で作られているため個人的には「サポートされたら後頭部、逝っちゃうんじゃないか?」と思いますが。。。

ロールオーバーバー及び後席のガワを剥ぐと中はこうなっています。

どおりで車体が重いわけだこれじゃボディが重いわけですね。

「重くなっても構わん、とにかく乗員の安全を最優先しろ~っ」
と、ドイツ語で会話がなされたとか、なされないとか、、、んなわけない。

トランク・リッドは後部からの追突に対処するため強化されているのでしょうか開けようとした瞬間「えっ?」っと思うほど重いです。ホントに重い!ダンベルいらずの上腕二頭筋強化に最適。

さらに2枚のドアもこれまたすごく重い。
ドアヒンジのところからいつの日か崩壊してしまうんじゃないかと思うぐらいです。

また (まだあるのかっ) ボディの下を覗きこむとわかりますが、4 本の太い鉄の棒 (STAY) が菱形状 (前 2 本・後ろ 2 本) に取り付けられていて、その取り付け方を見ると「ねじれるものならねじれてみっ」という補強がなされています。メルセデスの強い姿勢と見るべきでしょうか。
この STAY はクーペモデルにも装着されていますが、セダンにはありません。
もっとも、セダンには強固な A,B,C ピラーがありますので STAY の必要はないですね。

124 のセダン、ワゴンと乗り較べるとオープンゆえ当然 「ゆるいボディ」ですが、その「ゆるさ」も一興ではないかと思っています。
そもそも硬いのをお求めならオープンは乗らないですよね。

幌骨自体はボディ剛性および横転時の乗員の安全を考えているのでしょう、かなり太いです。幌部分の総重量は約 40kg あると聞いたことがあります。
したがって幌を開けると幌一式すべてボディの中段付近に格納されるので必然的に重心が下がり閉めている時とは一味違ったドライブ・フィーリングとなります。
これはオープンカーならではの味わいではないでしょうか。

幌は3層構造になっていて、外側 (風雨にさらされる部分) はキャンバストップ (ジャーマントップなどとも言われます)、内側 (室内の天井部分) は交換可能なファブリック、その両者に挟まれた部分には断熱材が入っています。
「夏は暑いでしょ?」とよく聞かれますが、おそらくセダンと大差はないです。。。ただし弱点であるエアコンが壊れていなければですが(笑)

ソフトトップを備えたクルマは雨の日の室内の音が必聴だと思います。
雨の音が心地よいその音はどんな音かと言うと”雨の音をテントの中で聴いている”というのが一番近いでしょうか。アウトドアがお好きな方なら「あ~ぁ、あの音ね」と想像も容易かと思います。
金属質なものが発する音とは違いあくまでも柔らか。
1層のソフトトップですとダイレクトな雨音、3層ですと音が拡散されさらに柔らかくなりちょっと遠くに雨の音を感じることができます。

特に降り始めは
、、、Lee OskarのBefore the Rainって感じ。

鉄の塊話しが横道にそれてしまいましたが、クーペボディをオープン化することで当たり前のように強化されたボディ (強化しすぎのボディとも言うかも) はその代償として 1,810kg (クーペ 320CE の 250kg 増し) という車重になってしまいました。
その重さは、駐車場の契約で重量制限があるところ(タワーパーキング)はほとんどの場合引っかかります。Sクラス並みの重さです。
おまけに操作系も重いですから、オープンカーといえども軽快感などはありません。まさしく重戦車オープンといった感じです。

当時日本の正規ディーラーが取り扱っていたものは「直 6 のDOHC (3,200cc) エンジン (104.992) 」搭載車でした。雑誌やネットなどで調べたところ本国ではベースとなった 300-24V (104.980) や 200 のモデルもあったようです。
104.992 エンジンは雑誌でもよく書かれていたように下から上までよく回り、トルクも十分、いいエンジンです。回しきったときのエンジン音は官能とまではいきませんがそれはそれでなかなかです。吹け上がりの気持ちよさは SOHC6 気筒 103.983 のほうが上かなと思います。
この104.9 系エンジン、”お約束”としてフロントカバーおよびヘッドガスケットからオイルをお漏らしします。

  • ヘッドガスケットのオイル漏れ修理
  • エアコンガス漏れによるエバポレーター & エキスパンションバルブ交換
  • AT 修理

大出費を伴う 3 大疾病 :ase: 遅かれ早かれ必ずやってきます。
。。。ちなみに私はATがまだです( ̄_ ̄|||)

’03 四万川ダムにて
’03 四万川ダムにて

’93 の時点では 320CE カブリオレと呼ばれていましたが、フェイスリフトされた翌 ’94 からは E320 カブリオレになりました。したがって私の 320CE カブリオレは「エンジンは W124 の最終モデルと同じ、しかしボディ形状はひとつ前」という、言ってみればマイナーチェンジの過渡期に生産されたものです (中途半端?完成度が低い?) ’94 からはラジエターグリルが小さくなり、それを洗練されたと考える人もいれば、いやいや押し出しが弱くなったと言う人もいます。いろいろ意見が分かれるところです。私個人はちょっとドンクサイ感じのでかいラジエターグリル&オレンジ色のウインカーが好きです。

祝 77777 km
祝 77777 km

クルマは走らせてナンボ、バンバン走って地道に修理。まだしばらく乗ろうと思っています